自動音響測定解説(2) RT60(残響特性)

パソコンのセットアップと測定の実行

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サウンドカードの確認:

SpectraSOFTはオーディオ信号の入出力デバイスとして「サウンドカード」を利用します。従って、パソコンに内蔵、あるいは増設したカード/ユニットをSpectraSOFTが認識しなければ測定を行うことができません。確認の手順は...

  1. SpectraSOFTを起動します。
  2. SpectraSOFTのメニューバーから<Option>-<Device>を選択して「Device」ダイアログを開きます。
         

    Fig.2-1a / 2-2a

     
         
  3. ダイアログに何らかのドライバファイルの名前が確認できればまずOKです。もし、空欄の場合は使用できないか、あるいはドライバのインストール不全が考えられますので、サウンドカードの説明書を参照し確認下さい。

NOTE: Windows対応カードであれば基本的には使用可能です。

 

ボリュームコントロールの調整:

オーディオ信号はサウンドカードの出力(HEADPHONE/SPEAKERなど)端子から出力され、入力(MIC/LINEなど)端子から取り込みます。そして、そのレベル調整はWindows付属の「ボリュームコントロール」アプリケーションで行います(外付けサウンドユニットの場合本体のコントローラを使用)。

  1. ボリュームコントロール」アプリケーションは、Windows<スタート>-<プログラム>-<アクセサリ>-<マルチメディア/エンタティンメント>-<ボリュームコントロール>に用意されています。

    もし、みつからない時はWindowsの説明書を参照し、Windowsのインストールディスクから追加して下さい。また、サウンドカード付属のボリューム/ミキサーコントロールを使用することもできます。

  2. ボリュームコントロール」には通常、「再生」部と「録音」部があります。
  3. 出力側は「再生」、入力側は「録音」部です。コントロールの<オプション>-<プロパティ>を開き、「録音」と「再生」マーク切り替えて設定します。備考)ボリュームコントロールのデザインは一様ではありません。
    <録音部> Fig.2-3   <再生部> Fig.2-3a  
       
    MIC」入力系がオンにセットされていることを確認します。もし、オフになっているとサウンドカードが正常でもマイク信号の取り込みができません。尚、余計なノイズの混入を避けるため「MIC」入力以外はオフにしておくことをお勧めします。マイクの信号レベルは一様ではありませんから、とりあえず音量ボリュームの位置はやや小さ目にセットして置きましょう。そして後で調整します。   WAVE」出力系がセットされていることを確認します。尚、不測の出力を避けるため「WAVE」以外は閉じておくことをお勧めします。とりあえず音量ボリュームの位置は小さ目にセットして置きましょう。そして後で調整します。  
           
  4. もし、SpectraSOFTが起動されていなければ起動し、ボリュームコントロール」とSpectraSOFTの2つを同時に立ち上げて置きます。そして、まずシステム全体のレベル設定状態を確認するため...
         

    Fig.2-4a
      メニューバーから次の設定を行います。
    <Utilities>  Signal Generator
    Fig.2-4    
      ジェネレーターのプルダウンメニューから<1kHz>を選択します。
         
  5. 内蔵マイクを使わない場合は、準備したマイクとパソコン/サウンドカードの「MIC」端子をつなぎます。一方、パソコン/サウンドカードの「HEAD PHONE/SPEAKER」端子とオーディオシステムの信号入力端子をつなぎます。
  6.  

    Fig.2-5
      SpectraSOFT<Run>ボタンをクリックすると「HEAD PHONE/SPEAKER」端子から、1kHzサインウェーブ信号が出力されます。同時にSpectraSOFTのアナライザーがマイク出力信号のスペクトラムを表示します。

    もし、スペクトラム画面が何の反応も示さない場合は、徐々に入力ボリュームを上げてみましょう。それでもダメならば、パソコンとサウンドカードの取扱説明書を参照し、セッティングを再確認してから操作して下さい。

  7. スペクトラム表示を観察しながら、オーディオシステムと前出の「ボリュームコントロール」アプリケーションで測定系全体の音量状態を調整します。適切な音量は、ジェネレーター信号オン/オフ時のレベル差が20〜30dB以上確保できるポジションです。従って、無音時の室内ノイズ(暗騒音)が多い環境ではスピーカー再生音量を大きめに設定する必要があります。
  8. 調整を完了したら<Stop>ボタンをクリックしてSpectraSOFTを停止します。
  9. メニューバーから<Utilities><Reverberation Time>を選択し、残響測定モードに切り替えます。

    Fig.2-6a
       
  10. 「START」ボタンをクリックしてスタートすると、ジェネレーターがピンクノイズ信号を生成し出力します。

     
    Fig. 2-7a
  11. 暫くすると信号出力は自動的に停止し、そしてデータが捕捉されて解析されます。測定結果を観察するには下記の「Reverb Times」「Decay Plot」「3-D Surface」モードボタンをクリックします。

 

テスト信号の再生音量レベルが測定に不適当なほど低い場合は、下図の警告を表示しますので、レベルを調整してから再びテストを実行して下さい。

Fig. 2-8a

 

ツールバーには次の表示モードボタンが用意されています。

Reverb Times:

「残響時間vs周波数」データを示すバーグラフです。80Hz〜20kHzを1/3 Oct.バンドで表示します。グラフ右端のバーはワイドバンドデータを示します。既定表示値は「RT-60」データですが、ツールバーのコントロールメニューで「RT-10, 20, 30, 40, 50」を任意に選択することができます。グラフ上任意のバーをダブルクリックすると、そのポジションの周波数バンド減衰特性(Fig.2-10a)を表示します。

Fig. 2-9a

 

Decay Plot:

選択周波数バンド(個別周波数)の「減衰レベルvs時間」を示すグラフです。周波数の選択、グラフ横軸の時間レンジの変更はツールバーのコントロールメニューで行います。

Fig. 2-10a

 

3-D Surface:

「Reverb Decay」データを三次元グラフで表示しますので、全周波数バンドの減衰特性を一望(俯瞰図)することができます。グラフ上の任意のポジションをダブルクリックすると、その周波数バンドの減衰特性(Fig.2-10a)を表示します。グラフ横軸の時間レンジの変更はツールバーのコントロールメニューで行います。

Fig. 2-11a

 


 

備考: RT-10, 20, 30, 40, 50:

一般的に残響データはRT60(Reverberation Time 60)と言われ、信号が60dB減衰するまでの時間(sec)で表します。しかし、対象環境の騒音レベルが高い場合60dBのマージンを確保することは容易でありません。そのような時に対応する測定仕様が「RT-10, 20, 30, 40, 50」です。例えば、コントロールメニューで「RT-20」を選択すると、信号が20dB減衰するまでの時間で残響データを捕捉し、表示します。


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