この章では、SpectraSOFTの基本的な操作手順を説明します。応用的操作については「技術・操作情報のページ」の頁をご参照下さい。
また、SpectraSOFTのインストールと環境設定については別章（1章、２章）をご参照の上、あらかじめ準備して下さい。文中の括弧<>はメニューを、「」はボタン、オプションボックスなどを表します。
| リアルタイムモード | レコードモード/ポスト-プロセスモード | シグナルジェネレータ |
メニュー<Mode>-<Real Time>: もし、この時に「... has changed Save file before closing?」のダイアログ表示があれば「いいえ」をクリックします。
<Window>-<Close All Views>: 開かれているすべてのビューウィンドウを閉じます。
<View>-<Time Series>/<Spectrum>: <Time Series>と<Spectrum>をクリックしてマークします。Time Seriesビューはオシロスコープ同様の機能を有します。
<Window>-<Tile Vertical/Horizontal>: ２つのウィンドウを縦配列/横配列に整えます。
<Options>-<Device>: SpectraSOFTが認識している信号入/出力サウンドデバイス（サウンドカード）を一覧表示します（デバイス名が全角・日本語の場合は文字化けすることがあります。プルダウンボタンを押してリストから適当なデバイスを選択します。入力側/出力側を個別に選択します。もし、デバイスが全二重仕様であれば入/出力共に同一デバイスで支障ありませんが、半二重仕様の場合は入/出力を個別に選択することになります。第２章 SpectraSOFTをとりあえず動かしてみるを参照下さい。
- <Options>-<Settings>: Settingsダイアログを開きます。
- 「Defaults」ボタンを押して設定を既定値にリセットします。
- Sampling Rate(Hz): プルダウンボタンを押すと、選択したサウンドデバイスが対応するサンプリング周波数を一覧表示します。SpectraSOFTの測定上限周波数はサンプリング周波数の1/2になりますから、例えば、10ｋHzを測定レンジにしたい場合は20ｋHz以上のサンプリング周波数を選択します。
- FFT size: 「32〜32,768（モデルによっては1,000,000以上）」を選択可能です。この値を大きくすると周波数分解能が上がります。現在の分解能は、「Spectrum View」上で右クリックメニューを表示し<View Data Values>をクリックすると確認できます。また、この値が小さいと測定下限周波数が上がりますので適時選択します。
- Sampling Format: 「16bit」と「Mono」オプションを選択します。「8bit」を選択すると取り込み信号品質が劣化します。
- Input Signal Overload: 「Enable Overload Detection」をマークするとアナライザーの過大入力をステータスバー上に検出表示することができます。
- 各設定を完了したら「Ok」ボタンを押してダイアログを閉じます。
- <Options>-<Scaling>: Scalingダイアログを開きます。
- 「Defaults」: このボタンを押して設定を既定値にリセットします。
- Amplitude Axis: Spectrumグラフのレベル（V）軸仕様を「リニア」か「対数/Log」に設定します。通常は対数を選択します。
- Frequency Axis: Spectrumビューウィンドウの周波数（Ｈ）軸仕様を「ナローバンド」か「オクターブバンド」に設定します。また、ナローバンドでは「リニア」か「対数/Log」に、オクターブバンドではバンド数を設定できます。通常、ナローバンドでは対数を選択します。
- Standard Frequency Weighting: 必要に応じ聴感補正フィルターを選択します。フィルターはリアルタイムに機能します。
- Microphone Compensation: 「Select」ボタンをクリックするとダイアログが開き、いくつかのマイク名が表示されます。もし、「アーカーゲ1000」を使用して測定を行うと仮定すると、「Akg-1000.mic」を選択することになります。そして「Enable Cpmpensation」オプションがマークされていれば、マイク特性をフラットに補正するイコライジング機能を介してリアルタイムに測定することができます。補正ファイルはシンプルなテキストファイルです。ノートパッドなどで参照、編集し保存することもできます。この機能は測定用マイクを確保できない場合に有効です。ただし、マイクの特性値が明らかである必要があります。第6章レベル校正とマイクロフォン特性補正機能の項を参照下さい。
第6章レベル校正とマイクロフォン特性補正機能の項を参照下さい。
- <Options>-<Calibration>: Amplitude Calibrationダイアログを開きます。
- 「Defaults」: このボタンを押して設定を既定値にリセットします。
- もし、「Enable Calibration」オプションがマークされていれば外します。「Ok」ボタンを押します。この時、SpectrumビューウィンドウのＶ軸は「Relative Amplitude(dB)」を示します。この単位は相対値(dB)であり絶対値ではありません。従って、この状態で測定を実行した場合、アナライザーで絶対値を読むことはできません。
- 校正用基準信号を用意します。ここでは「94ｄB SPL」の信号源を用意したと仮定します。
- 基準信号をサウンドカードの入力に供給します。
- 再度、Amplitude Calibrationダイアログを開きます。
- 「Level」欄を「94」に変更します。そして、「Units」のプルダウンボタンを押し、「SPL dB」を選択します。
- 「Measure Input Signal」ボタンをクリックします。
- 数秒経過するとボタン下の「Detected Levels」値が自動的に変化します。
- 「Enable Calibration」オプションがマークされていることを確認して「Ok」ボタンを押します。
- Spectrum表示ウィンドウレベル軸のラベルは絶対値単位「SPL(ｄB rms)」に変化します。
- これで真の絶対値表示が可能となります。レベル表示確度が校正信号に依存することを認識することが肝要です。
- なお、校正値はダイアログの「Save」ボタンを押してファイル保存することが出来ます。
もし、校正用基準信号を用意することが出来ない場合は以下の手順で観察して下さい。
- Amplitude Calibrationダイアログを開きます。そして、「Load」ボタンを押し、ダイアログから「Volts.cal」を選択します。「Enable Calibration」オプションがマークされていることを確認して「Ok」ボタンを押します。
- Spectrum表示ウィンドウレベル軸のラベルは絶対値単位「ｄBV rms」に変化します。ただし、ダイアログに提供されている「.cal」ファイルはあくまでもサンプルです。実際のレベルキャリブレーションは前述の様に行う必要があります。
アナライザーをスタートするにはメニューバー下の「Run」ボタンを押します。また、停止するには「Stop」ボタンを押します。スタートすると画面最下部のステータスバー左端にレベルバーが、そしてビューウィンドウにはデータラインが表示されます。もし、ラインがASpectrumビューウィンドウに表示されない場合はアイコンバー上の「Plot Top」値、また「Plot Range」値をコントロールすることによりレベル軸感度を変えることができます。また、上下矢印アイコンをクリックすると感度を自動的に最適化します。もし、ここで被測定信号を入力していない場合はパソコンの自己騒音か、あるいはパソコン内蔵のマイクが拾う周辺音が表示されます。
適時被測定信号をサウンドデバイスの信号入力に供給して下さい。もし、SpectraSOFTのシグナルジェネレータを使用する場合はシグナルジェネレータの項を参照下さい。
アナライザーの入力感度はサウンドデバイスのボリュームによってコントロールされます。外付けのサウンドデバイスではボリュームコントロールノブで行いますが、パソコン内蔵/内蔵型のサウンドデバイスを使用する場合は通常、Windowsのアクセサリに提供される「ボリュームコントロール」ソフトで行います。この機能はWindowsのスピーカーアイコンをクリックしても起動できます。ボリュームコントロールの「録音」側がアナライザーの入力系を司ります。「録音コントロール」「マイク」「ライン」のボリュームによって適時コントロールします。尚、これ等の操作を行った時は再びレベル校正作業が必要になることを認識して下さい。もし、この時「マイク」が選択されていればパソコン内蔵のマイクが拾っている環境騒音が表示されます。
アナライザーをスタートします。そして、「Stop」ボタン横の「Aｖｇ」ボタンをクリックし、リストから適時数値を選択します。数値を大きくするとAVGスパンが長くなるためSpectrumのデータラインの動きがスローになります。「Infinite」ではアナライザーを停止するまでAVGを継続します。「Peak Hold」をマークするとアナライザーを停止するまでピーク値を保持します。
アナライザーをスタートします。そして、ビュー右に設けられている「Overlays」の「Set」ボタンを適時クリックすると、その時点のデータがデータメモリにストレージされて色別表示されます。この機能によりデータの比較表示が容易に行えます。
「Overlays」の「Options」ボタンをクリックすると「Overlay Management」ダイアログが開きます。そして「Save」ボタンを押し名前を付けて保存します。４つのデータメモリ個々に保存可能です。また、保存したデータは「Load」ボタンを押すことによりメモリにストレージすることもできます。ロードデータはグラフ表示に反映します。
グラフ上でマウスをクリックするとカーソルポイントの値をテキストボックスに表示します。また、右ボタンをクリックするとポップアップメニューが現れます。そして、<View Data Values>を選択するとテーブルでデータ値を観察することができます。<Copy As Text>を選択するとデータをクリップボードにコピーしますので、アプリケーション（表計算ソフトなど）に貼り付けて利用することができます。
<File>-<Print>: 印刷対象のビューをマウスでクリックして選択します。印刷ダイアログが開きますので、用紙サイズ/フォームを指定して次に進みます。「Print Annotation」ダイアログには印刷シートのヘッドラインに印字したいメモを入力します（全角文字非対応）。
レコーダーモード/ポスト-プロセスモードの機能は基本的にリアルタイムモードを踏襲しますので、相違点を説明します。ポスト-プロセスモードは保存されたWAVファイルを読み出し後処理を行う際に使用します。
<Mode>-<Recorder>: もし、この時リアルタイムモードのデータが残存していると「Data is still available in the Real-Time data buffers. Do you want to convert this to a WAV file ...」と表示されます。「はい」を選ぶと、データバッファに残存する被測定信号をWAVファイル形式に変換してレコードモードに引継ぎます。「いいえ」では廃棄します。
このモードでは、アナライザーが取り込む被測定信号はWAVファイル形式でハードディスク上に逐次記録されます。従って、ディスク容量を大量に消費しますのでハードディスク空きサイズに留意する必要があります。消費容量は条件に依りますが、サンプリング周波数/フォーム:44.1ｋHz/16bitsの場合で5.3MB/分です。ステレオモードでは倍になります。
アナライザーをスタートするにはメニューバー下の「Rec」ボタンを押します。停止するには「Stop」ボタンを押します。記録時間は「Stop」ボタン横のタイムバーに表示されます。停止後再スタートするとファイルに追記されます。
ハードディスクに記録されたWAVファイルは一時ファイルです。これをファイル保存するには、<File>-<Save As..>メニューで名前を付けて保存します。
「Play」ボタン（スピーカーアイコンボタン）で記録信号を再生することができます。再生時間はタイムバーで確認可能です。スライドボタンがバーの右端に至ると停止します。「Rwd」ボタンで巻き戻すことにより再生を繰り返すことが出来ます。また、ファイルの任意のタイムレンジを再生することもできます。Time Seriesビューの矢印アイコンをクリックした後、マウスで所定のレンジを選択し、Time Seriesビューのスピーカーアイコンボタンを押して下さい。
Time Seriesビューの矢印アイコンをクリックした後、マウスで所定のタイムレンジを選択し、マウス右ボタンをクリックすると種々の再処理機能を提供するポップアップメニューを表示します。もし、ファイル全体を処理する場合は<Edit>-<Select All>を使用して全タイムレンジを選択して下さい。第５章その他のコントロールを参照下さい。
- ファイルにフィルター、ミュート処理をする
ポップアップメニューから<Filter>を選択します（フィルターアイコンボタンでも同様です）。そして、現れた「Digital Filterring」ダイアログで任意の条件を設定後「Start」ボタンを押すと処理結果が反映されます。ポップアップメニューから<Mute>を選択するとミュート処理が実行されます。
- ファイルを後処理表示する
ポップアップメニューから<Compute ...>項目を選択すると、選択タイムレンジを再処理して種々のデータを表示することができます。例えば、<Compute and Display Average Spectrum>では選択タイムレンジの平均スペクトラムをSpectrumビューに表示します。
各ビューのアイコンバーにはグラフ表示をコントロールする機能が提供されています。虫メガネアイコンでは周波数軸のスパンをズームイン・アウトすることが、上下矢印アイコンではレベル軸の感度を最適化することができます。プロパティアイコンでは種々の表示オプションを設定することができます。
SpectraSOFTには拡張機能としてシグナルジェネレータが提供されています。第７章シグナルジェネレータの項を参照下さい。
<Utilities>-<Signal Generator>: このメニューをクリックすると「Generator」ダイアログが現れます。プルダウンメニューをクリックしてウェーブフォームを選択します。「Level」ボタンを押すとジェネレータ出力レベルを設定するダイアログが、「Detail」ボタンを押すとウェーブフォームを詳細を設定するダイアログが開きます。
「Generator」ダイアログの「Run」ボタンを押すとシグナルジェネレータだけを、アナライザーの「Run」ボタンを押すとアナライザー/シグナルジェネレータ双方がスタートします。もし、アナライザーの「Run」ボタンを押した時に警告表示「Please Open a WAV file for processing」が出る場合は、サウンドデバイスが半二重仕様のためアナライザー/ジェネレータ双方を同時に使えないことを意味します。