9章 基本操作例

この章では、SpectraRTAの基本的な操作手順を説明します。応用的操作については「技術・操作情報のページ」の頁をご参照下さい。

また、SpectraSOFTのインストールと環境設定については別章(1章、2章)をご参照の上、あらかじめ準備して下さい。文中の括弧<>はメニューを、「」はボタン、オプションボックスなどを表します。

 

| リアルタイムモード | レコードモード | シグナルジェネレータ |


リアルタイムモード

 

メニュー<Options>-<Device>: SpectraSOFTが認識している信号入/出力サウンドデバイス(サウンドカード)を一覧表示します(デバイス名が全角・日本語の場合は文字化けすることがあります。プルダウンボタンを押してリストから適当なデバイスを選択します。入力側/出力側を個別に選択します。もし、デバイスが全二重仕様であれば入/出力共に同一デバイスで支障ありませんが、半二重仕様の場合は入/出力を個別に選択することになります。第2章 SpectraSOFTをとりあえず動かしてみるを参照下さい。

  1. <Options>-<Settings>: Settingsダイアログを開きます。
  2. Defaults」ボタンを押して設定を既定値にリセットします。
  3. Octave Scaling」フレーム: 周波数分解能を選択します。SpectraSOFTのオプション仕様により「1/11/48 Oct.」を選択可能です。
  4. Frequency Span」フレーム: 測定周波数レンジを設定します。「Lowest」が下限、「Highest」が上限値ですが、上限値は使用するサウンドデバイスのサンプリング周波数仕様に依存します。測定上限周波数はサンプリング周波数の1/2になりますから、例えば、10Hzを測定レンジにしたい場合は20Hz以上のサンプリング周波数が必要です。
  5. Processing Mode」フレーム: 測定対象チャンネル、処理モードを設定します。ここでは「RTA mode Left channel only」左チャンネル(モノラル)を選択します。
  6. Standard Frequency Weighting」フレーム: 聴感補正カーブを選択します。
  7. Microphone Compensation」フレーム: Select」ボタンをクリックするとダイアログが開き、いくつかのマイク名が表示されます。もし、「アーカーゲ1000」を使用して測定を行うと仮定すると、「Akg-1000.mic」を選択することになります。そして「Enable Cpmpensation」オプションがマークされていれば、マイク特性をフラットに補正するイコライジング機能を介してリアルタイムに測定することができます。補正ファイルはシンプルなテキストファイルです。ノートパッドなどで参照、編集し保存することもできます。この機能は測定用マイクを確保できない場合に有効です。ただし、マイクの特性値が明らかである必要があります。6章レベル校正とマイクロフォン特性補正機能の項を参照下さい。
  8. 各設定を完了したら「Ok」ボタンを押してダイアログを閉じます。

6章レベル校正とマイクロフォン特性補正機能の項を参照下さい。

  1. <Options>-<Calibration>: Amplitude Calibrationダイアログを開きます。
  2. もし、「Enable Calibration」オプションがマークされていれば外します。「Ok」ボタンを押します。この時、SpectrumウィンドウのV軸は「dBr」を示します。この単位は相対値(dB)であり絶対値ではありません。従って、この状態で測定を実行した場合、アナライザーで絶対値を読むことはできません。
  3. 校正用基準信号を用意します。ここでは「94B SPL」の信号源を用意したと仮定します。
  4. 基準信号をサウンドカードの入力に供給します。
  5. 再度、Amplitude Calibrationダイアログを開きます。
  6. Run Calibration Procedure..」ボタンをクリックします。
  7. ダイアログのレベル欄に「94」と入力します。
  8. Start」ボタンをクリックすると数秒間自己校正処理を実行します。
  9. Enable Calibration」オプションがマークされていることを確認して「Ok」ボタンを押します。
  10. Spectrumウィンドウレベル軸のラベルは絶対値単位「dB SPL」に変化します。
  11. これで真の絶対値表示が可能となります。レベル表示確度が校正信号に依存することを認識することが肝要です。
  12. なお、校正値はダイアログの「Save」ボタンを押してファイル保存することが出来ます。

もし、校正用基準信号を用意することが出来ない場合は以下の手順で観察して下さい。

  1. Amplitude Calibrationダイアログを開きます。そして、「Select」ボタンを押し、ダイアログから「Sample.cal」を選択します。「Enable Calibration」オプションがマークされていることを確認して「Ok」ボタンを押します。
  2. Spectrumウィンドウレベル軸のラベルは絶対値単位「dB SPL」に変化します。ただし、ダイアログに提供されている「.cal」ファイルはあくまでもサンプルです。実際のレベルキャリブレーションは前述の様に行う必要があります。

アナライザーをスタートするにはメニューバー下の「Run」ボタンを押します。また、停止するには「Stop」ボタンを押します。スタートすると画面最下部のステータスバー左端にレベルバーが、そしてウィンドウにはデータグラフが表示されます。もし、データがSpectrumウィンドウに適切に表示されない場合は、ボタン下の「Plot Top」値、また「Plot Range」値をコントロールすることによりレベル軸感度を変えることができます。また、上下矢印アイコンをクリックすると感度を自動的に最適化します。もし、ここで被測定信号を入力していない場合はパソコンの自己騒音か、あるいはパソコン内蔵のマイクが拾う周辺音が表示されます。

適時被測定信号をサウンドデバイスの信号入力に供給して下さい。もし、SpectraSOFTのシグナルジェネレータを使用する場合はシグナルジェネレータの項を参照下さい。

アナライザーの入力感度はサウンドデバイスのボリュームによってコントロールされます。外付けのサウンドデバイスではボリュームコントロールノブで行いますが、パソコン内蔵/内蔵型のサウンドデバイスを使用する場合は通常、Windowsのアクセサリに提供される「ボリュームコントロール」ソフトで行います。この機能はWindowsのスピーカーアイコンをクリックしても起動できます。ボリュームコントロールの「録音」側がアナライザーの入力系を司ります。「録音コントロール」「マイク」「ライン」のボリュームによって適時コントロールします。尚、これ等の操作を行った時は再びレベル校正作業が必要になることを認識して下さい。もし、この時「マイク」が選択されていればパソコン内蔵のマイクが拾っている環境騒音が表示されます。

アベレージ値とピーク値は個々に識別表示され、また、同様に条件値(Off, Fast, Medium, Slow, Forever)も設定可能です。

アナライザーをスタートします。そして、「Memories」の「1〜4」の「Set」ボタンを適時クリックすると、その時点のデータがデータメモリにストレージされて色別表示されます。この機能によりデータの比較表示が容易に行えます。「C」ボタンをクリックすると「Composite Memory Setup」ダイアログが開き、データメモリ「1〜4」のデータに対し演算処理を行うことが出来ます。結果はグラフに反映します。

Memories」の「Options」ボタンをクリックすると「Memory Options」ダイアログが開きます。そして「Save」ボタンを押し名前を付けて保存します。4つのデータメモリ個々に保存可能です。また、保存したデータは「Load」ボタンを押すことによりメモリにストレージすることもできます。ロードデータはグラフ表示に反映します。

グラフ上でマウスをクリックするとカーソルポイントの値をテキストボックスに表示します。また、右ボタンをクリックするとポップアップメニューが現れます。そして、<View Spectrum Table>を選択するとテーブルでデータ値を観察することができます。<Copy to Clipboard>を選択すると、アクティブデータやメモリデータをクリップボードにコピーしますので、アプリケーション(表計算ソフトなど)に貼り付けて利用することができます。

<File>-<Print>: 印刷対象のビューをマウスでクリックして選択します。印刷ダイアログが開きますので、用紙サイズ/フォームを指定して次に進みます。「Print Annotation」ダイアログには印刷シートのヘッドラインに印字したいメモを入力します(全角文字非対応)。

 

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レコードモード

レコーダーモードの機能は基本的にリアルタイムモードを踏襲しますので、相違点を説明します。

<Utilities>-<Recorder>: もし、この時リアルタイムモードのデータが残存していると「Data is still available in the Real-Time data buffers. Do you want to convert this to a WAV file ...」と表示されます。「はい」を選ぶと、データバッファに残存する被測定信号をWAVファイル形式に変換してレコードモードに引継ぎます。「いいえ」では廃棄します。

このモードでは、アナライザーが取り込む被測定信号はWAVファイル形式でハードディスク上に逐次記録されます。従って、ディスク容量を大量に消費しますのでハードディスク空きサイズに留意する必要があります。消費容量は条件に依りますが、サンプリング周波数/フォーム:44.1Hz/16bitsの場合で5.3MB/分です。ステレオモードでは倍になります。

Play」ボタン(スピーカーアイコンボタン)で記録信号を再生することができます。再生時間はタイムバーで確認可能です。スライドボタンがバーの右端に至ると停止します。「Rwd」ボタンで巻き戻すことにより再生を繰り返すことが出来ます。

 

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シグナルジェネレータ

SpectraSOFTには拡張機能としてシグナルジェネレータが提供されています。第7章シグナルジェネレータの項を参照下さい。

<Utilities>-<Signal Generator>: このメニューをクリックすると「Generator」ダイアログが現れます。プルダウンメニューをクリックしてウェーブフォームを選択します。「Level」ボタンを押すとジェネレータ出力レベルを設定するダイアログが、「Detail」ボタンを押すとウェーブフォームを詳細を設定するダイアログが開きます。

Generator」ダイアログの「Run」ボタンを押すとシグナルジェネレータだけを、アナライザーの「Run」ボタンを押すとアナライザー/シグナルジェネレータ双方がスタートします。もし、アナライザーの「Run」ボタンを押した時に警告表示「Please Open a WAV file for processing」が出る場合は、サウンドデバイスが半二重仕様のためアナライザー/ジェネレータ双方を同時に使えないことを意味します。

 

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